「ヴァンパイアは、自分よりも高い血筋のヴァンパイアに本能的に魅力を感じてひきつけられるモノだから。
亜姫がどうこうってわけじゃなくて、ヴァンパイアなら誰でも同じって事だよ」
「……別に聞いてない」
「だから、亜姫が俺のキスを拒めなかったのも、大学の校内で無理やり迫られても結局感じちゃったのも全部血のせい……」
「いちいち言わなくていい!」

ますます恥ずかしくなって大声で止める。
二楷堂は楽しそうな笑顔で、「そう?」なんてとぼけた返事を返した。

……本当に、こんな普通の大学生みたいのが王子なの?
確かに、ヴァンパイア界の事にも精通してるみたいだし、話に矛盾点もない。

恥ずかしいけど、王家の血筋から放たれるモノも、身をもって経験しちゃってるし。
二楷堂に対して得体の知れない、絶対的なモノを感じていたのも確かだ。

ずっと疑問に思ってた外見も優れた感覚も、なんでだか拒みきれずにいた理由も、うっかりいつも受け入れちゃってた行為も。
これで全部説明はつく。