「タブレット。サプリメントみたいなモノかな。
一粒で、大体、人間の血を一度吸ったくらいの効力がある」

言ってる意味を理解するまでに時間がかかった。
だって、信じられなかったから。

協会が、吸血衝動を抑制するための薬を開発しようとしてるのは知ってた。

人間とより上手く共存するため、そして、一部の凶暴なヴァンパイアが犯罪に走るのを防ぐために。
けど、私が小さい頃からずっと研究しているのに、それが完成したって話は未だに聞いた事がない。

試作品すら出せないほどてこずってるって話だったのに……。

抑制どころか、吸血衝動自体を満足させる薬があるなんて……。

「信じられない? でも、俺は亜姫に嘘は言わないよ」
「だって……まだ開発の段階じゃなかったの?」
「ヴァンパイア界ではね。
このタブレットの出所はヴァンパイア界じゃない。
でも、それがどこだかはまだ言えないけど」