それに。

「本当にヴァンパイアなの?
ヴァンパイア同士なら、私が二楷堂に気付かないハズない」
「訓練すれば気配なんかどうにでもなるんだよ。
長いこと人間の血を吸ってないっていうのもあるのかもしれないけど」
「え……どういう事?
吸血衝動も訓練次第でどうにかなるって事?」
「いや、吸血衝動は訓練したってムダかな。
俺たちヴァンパイアにとっては、4つ目の欲求だし。
僧侶にでもなれば話は別かもしれないけど」
「はぐらかさないで」

ははって笑う二楷堂。
真剣に言うと、ふぅってため息をついた二楷堂が、ポケットから黒い容器を取り出した。

手のひらの半分くらいの大きさで、形は長方形。
二楷堂が振ると、何か入ってるような音がしてた。