『なにか用?』
『誰とも付き合わないって噂を聞いたんだけど、それが本当なのかどうかを確認したくて』
『本当だけど……もう噂になってるんだ。よかった』

このまま広がってくれれば、ムダに話しかけられる事も少なくなる。
そんなニュアンスでホっとしてため息をつく。

二楷堂は、そんな私の態度を見ていたハズなのに、にこっと笑った。
そして、この流れでは、普通の人なら言えないような事を言い出す。

『俺と付き合ってよ。
ずっと前から見てたんだ』
『……今、誰とも付き合わないって噂が本当だって話をしてたんだけど、聞いてた?』
『うん。だから今は誰とも付き合っていないって事だろ?』
『誰とも付き合ってないし、これからも誰とも付き合わないって事』
『そっか』

そう言って笑ったから、今度こそ納得してもらえたんだと思ったのに。
翌日、二楷堂は駅で待ち伏せしていて。

告白なら断わったハズって言った私に、またしても笑って言った。