『泣かないで。大丈夫だから』 そう言って、男の子は泣きじゃくる私の頭を優しくなでた。 私よりも、少しだけ高い背。 全部が血の色に見える瞳に映ったのは、悲しそうにも微笑んでる男の子。 『悲しみは続かない。……続かせないから』 すべてが赤かった世界に色をつけてくれたのは、その子の微笑みだった。