…なんとなくだけど、嫌な予感はしてた。
でもせっかく久しぶりに翔時のマンションまで来たのに、とんぼ返りするのも違うと思った。
合い鍵をキーケースから取り出し、ドアを開けた。
………やっぱり入らなきゃ良かった。
女の感とはよく言ったもので、どうやら私はそれを発揮してしまったらしい。
可愛らしいサンダルが脱ぎ捨ててある。
そしてたいして広くもない1Kの部屋は、ドアを開けると全て見渡せてしまう。
目線を足元から徐々に上へあげ、まっすぐ前を見据えると。
ベッドには誰かが寝ている。
ドアがあいても起きる気配はない。
もしかしたら翔時一人だけかもしれない、となぜか考えてしまう。
靴を脱ぎ、物音も気にせず近づく。
…翔時ともう一人、誰か寝ている。