全身が総毛立つ思いに亜希は必死にもがき、足を振り上げたときだった。
柔らかい何か、確かに足の脛あたりがなにかにあったような感覚があった。
その瞬間
「ーーーっ!?」
声にならないような叫びが上がると共に亜希を抱いていたモノが離れうずくまる。
亜希が呆然としている間地面に伏せっているのは紛れもなく男だった。
白のシャツにグレーのズボンと小奇麗な格好をしている。
外人なのだろうか、色素の薄い金に近いような髪の色をしていた。
ーあぁ、どうしよう英語わかんない
そんなことを考えてしまうほど気が動転しているのか、亜希はその場からずっと男を見下ろしていた。
「あ、あき・・・でしょ?」
絞り出すような男の声に我に返る。
ーやってしまった。
亜希は咄嗟に駆け出した。
男に抱きつかれた事も怖かったが、何より蹴りあげた時の感触、そして男の反応が頭から離れなかった。
罪悪感と安心感がない混ぜになった気持ちで家に急ぐ