「……夢か」


まだぼんやりとする頭で、そっと呟く。外はいつの間にか薄暗くなっていた。


遠いようで近いような、まだ数年前されど数年前の出来事。

リークと出会ったばかりのトルガが、まるで回想のように夢となって出てきた。

懐かしいな。

ふっと口角を上げクシャリと前髪を掻いていると、部屋の外から「失礼します」と声が掛かってきたので、まだ寝起きの重たい頭を無理矢理あげた。


入ってきたのはリークたちを村まで連れてきた、あの村娘だった。

彼女は一言二言ここでの生活について申し立てたあと、少し躊躇ってからリークに視線を向けた。


「あの、お連れの方はまだ…」

「見つかってないですね。たぶん大丈夫でしょう。あいつはタフだから」


あなたたちが思ってるよりよっぽどね。

にっこり笑みを浮かべるリークに、村娘の頬がやや紅潮する。

トルガがこの場にいればきっと、『ケッ、タラシてんじゃねえよ鬼畜野郎が』とでも言うだろう。