「それともうひとつ、この村はおかしい。先程から違和感を感じる」
「ぶくく…っ、おいリークっ。お前そりゃあ神隠しにブルっちまってんじゃねえーの?ちょうだっせえー………イッダーッ!」
「どうかしましたか?」
「いえ何も」
トルガの悲痛な叫びに気遣う声をかける少女。しかし案の定、リークの微笑みによってその優しさも泡と消えた。
「(ボソ)てめっ、小声で話せっつったのになんで殴るよ、ええ?! ったく、信じらんねえ」
「(ボソ)まあそう言うな。お前だってこれくらいのこと、慣れているだろう?」
「……慣れってこえーな」
「ん?」
「イエベツニ」
トルガの溜め息交じりの声はリークにも届かなかったという。