お前の取り柄は頑丈だけのくせして……と呟くトルガにまたロアロは大爆笑。

黒獅子を倒せたということはイコール、この男も大層強いのだろうが。

あっけなく笑い死にする姿が容易にできてしまう。



「さあーて、それじゃあ俺はもう行くさね。また、な。トルガ」


「お、おうっ!……ってアレ?そういやお前なんで俺の名前知って……」


「んー、それはあ」



にこにこ笑いながらトルガに近づくロアロ。

目の前に来るなり腰を屈(かが)ませトルガに視線を合わせると、人差し指をトルガの唇にあて。



「ひ・み・つ・(はあと)」

「……!」



ウィンクをして去るロアロ。

その後ろ姿にしばらく見惚れていたトルガだったが、すぐにハッとして慌てて走り出した。



「やっべー!あの鬼畜どっかでくたばってねえだろうなあっ?!」







「ぶくくっ……ほんっともう、最高だよ。おじょーちゃん。ねえ、リーク?」


「いつ帰っていらっしゃったのですか、ロアロ・メル…………」


「やーん素っ気なあーいなーあっ、昔みたいに【お兄さま】って呼んで欲しいもんだねえ」


「本気で仰(おっしゃ)いで?」(にこり)

「……相変わらず黒いな、お前」



苦笑するロアロ、その目の前には只今トルガが絶賛捜索中の鬼畜王子・リークがいた。