[コノ小娘……ッ]
[コチラガ下手ニ出レバイイ気ニナリヤガッテ!]
[殺ス!喰ラウ!消エチマエ!]
「ッハ、下手に出ただあ?下手に出るくらいの力量しかなかった、の間違いだろ」
[ナッ……]
[人間如キガアアッ]
[殺セエエエエエエエエエエッ!!]
喚き吠える魔族。今まさにトルガを喰い千切ろうと大口を開け駆け出したところで……
[落チ着ケ]
[ッ、ハイ、ギル様…]
凛とよく響く、地の底から響く声のはずなのに、どうしてこう黒獅子の声が耳に澄んで入るのか。
「あ?おい黒獅子、んで止めさせんだよ。こっからだろう?」
[無駄ダ。貴様ニ我々ヲ倒セナドシナイ。無駄死ニスルダケダ]
「やってみなきゃ分っかんねえだろ!」
吠えるトルガに黒獅子はゆっくりと口を開く。