もちろん、当事者(被害者)であるトルガには微笑ましく感じることなどひとつもない。


むしろイラッ、だ。



「いいから降りやがれってんだ、この
クソ王子ッ!」


「それを言うのか?トルガ。意味を分かって使っているんだな?」


「はあん?お前にピッタリの言葉じゃ……「ならお前はクソ以下だ」


「墓穴ったあああああッ?!」


「本当にお前は馬鹿だな、トルガ。ほんと、見ていて飽きない。…………だからお前を手放せないんだ」


「あ?なんか言ったか」


「いや別に」


「ッハ、なんだよ。言えねぇことなのか?一国の王子サマが言えねぇようなヤマシーイ戯言呟いてましたあーなんて………って痛い痛い痛いッ!」



トルガの肩に置いた肘でぐりぐりと地味に脅すリーク。


(お前それ以上言ったらどうなるか分かってんだろうな?)


(にこにこ笑ってらっしゃる王子が唯一笑ってない目だけで脅してきます)


(………他に言うことは?)


「すいまっせんしたあああああッ!」



突如として叫んだトルガを若者が不審気な目で見たことは言うまでもない。


そしてその様子をいまだ微笑ましそうに見つめる老男女がいたことも……言うまでも、……な、い?