最後に下唇を甘噛みして、わざと音を立てて離れる大上くん。


ちゅっ、という音がテレビも何もつけていないこの静かな部屋にはよく響いた。



「キスだけで満たされる日向子ってなんなの」


「な、なんなのって言われても……」



毎回と言っていいほどキスのあとは絶対恥ずかしくなって顔を俯かせるわたし。


視線をあげることなく大上くんに返事をする。



「俺はこれだけで満足なんてできねーよ?」



腰に回された手を曖昧に笑いながら剥がそうと試みるが大上くんはそうはさせてくれない。


流れに身を任せようかな、なんて思ってしまったのはチョコの甘すぎる香りとその甘い声のせい。



好きだよ。

口に出して言えばすぐに伝わることだけど。


想いを読み取って。

想いを感じて。



「……ごめん、お腹空いたぁ」


「ここで腹が鳴るとかムード台無しなんだけど」



#おまけ おわり

See you again...★