「犬にでも追いかけられた?」
「そんなんじゃないよ……」
買ってきたチョコにちらりと視線をやり、きゅっと口を結んだ。
大上くんは顔を洗いに行ったのだろう。
洗面所から水の音が聞こえる。
どうやって言おうかな。
いつどのタイミングで言いましょう。
もう今言っちゃおうかな……?
「あのさっ、これチョコなんだけど一緒に食べよう!」
「……自分で作ったもの自分で食べんの?」
わたしの手にあった紙袋を取って中を見る大上くん。
その顔をじっと見つめているとなに?と首をかしげられた。
「それ……買ったの。わたしが作ったものは……」
猫に持っていかれました。