ゆっくりとしゃがんで女の子が背中から離れたのを確認し、振り返る。
「ありがとう、お姉ちゃん」
「お姉さんありがとうございました! 助かりました!」
「いえいえ。気をつけて帰ってね」
手を振って小学生たちを見送り、公園からあの子達が出て少し経ったあとわたしは頭を抱え込んだ。
あぁー……どうしよう。
本当にどうしよう。
バレンタインなのにチョコを渡せないなんて。
ケータイで時間を確認して鞄の中からお財布を取り出す。
もう作る時間なんてない。
今からじゃもう何もできない。
もう仕方ない。
買う。
買おう。