「お姉ちゃん、おんぶして! あたしが取る」
「えぇ? おんぶ?」
ひとりの女の子がわたしに向かって腕を伸ばしてきた。
小学生だから軽いからおんぶはできるけど……ボールに届くかな?
大上くんの身長なら楽々と取れただろうね。
「よいしょっと。しっかりつかまっててね」
「うん!」
女の子を背負ってボールがある方へと少しずつ足を動かす。
肩に置かれた小さな手にぐいぐいと押されるけど、痛さは感じなかった。
みんなが見守っている中、女の子は必死に手を伸ばしてボールを取ろうとしている。
肩車した方がおんぶよりも高くなるからボールに届くとは思うけど……
落ちちゃったら危ないし怖くてできない。