「このドラマ見てるとものすごくチョコが食べたくなるねぇ」
「いる?」
「いらないでーす。こんな夜遅くに食べたら太るもん」
隣に座っている大上くんがチョコを差し出してきた。
かじりかけの板チョコ。
首を振って視線をテレビに戻す。
そういえばもうすぐでバレンタインデーがやってくる。
もうそんな時期だ。
今年は何を作ろうか。
まぁ、私に作れる物なんて限られてるんだけどさ……
「今年は頑張ろっかなあ! バレンタイン楽しみにしててね」
「おー、期待しないでおく」
「そういうこと言うんなら大上くんにはあげない」
「じゃあ誰にあげんの?」
「……友達と交換するの」
ふっと鼻で笑われ、私は腕に抱えていたクッションを大上くんの頬に押しつけた。
大上くんは無言で押し返してくる。
期待以上のものを作ってやるんだから!
今年は頑張ろっ!