「……っ」
のどの奥が急に熱くなったように感じ、何も声が出なくなる。
ぼやける視界。
そっと強く目を瞑って唇を横に固く結んだ。
泣きそうになるのを必死にこらえ、電車が駅に着くのをひたすら待った。
訊きたいことがいっぱいある。
話したいことだってある。
聞いてほしいことがあるんだよ。
消してしまいたかった気持ちも簡単には消えてくれなくて。
いつまでも心の中には大上くんがいて。
やっぱりあなたが好き。
この気持ちに嘘はない。
「すみませんっ……」
ドアが開いて急いで降り、人がたくさんいるホームを小走りで行った。
肩がぶつかってしまう度、謝る。
今は何の迷いもなしに家を目指して走るだけ。
他に考えてる事なんてなにもない。