電車がホームへと入ってきて風に乗ってワンピースの裾と髪の毛がふわっと舞う。
「……ごめん。あとでかけ直すね」
それだけ言って一方的に電話を切り、電車の中に乗り込む人たちの波に乗ってわたしもつづいた。
握りしめたケータイがもう一回振動する。
もう電車に乗っちゃったんだから出るわけにはいかない。
……というか、今は出たくない。
いきなり電話を切ってしまったわたしに納得がいかず、西山くんがもう一度かけてきてるんだろう。
海外に行っちゃうの……? なんで?
就職活動なんてまだ少し先の話じゃん。
もうお隣さんじゃなくなっちゃう?
本当に離れ離れになっちゃうの……?