着信が一件あった。

折り返し電話をすると相手はすぐに出た。



『もしもし、日向子?』


「どうかしたの?莉乃」



電話の相手は莉乃。
声が焦ってるように聞こえるのは気のせい?

そんなに慌ててどうしたんだろう。



『あのさ、日向子。大上ってさ……って、ちょっと待っ! もしもし、及川!?』


「え……? あら?」


『俺、西山だけど!』


「に、西山くん?」



莉乃のケータイを無理やり奪ったのか電話の相手がいきなり西山くんに変わった。


電話を耳に当てながら電車が来るホームへと歩く。



『大上が――……って話、ホントかよ?』


「ごめん。もう一回言ってくれる? よく聞こえないの」



『だーかーら! 大上が海外行くって話、お前は聞いてんの!?』