「……悔しいなぁ……っ。日向子ちゃんに勝てなかったかぁ」



──空を仰ぎ見てぽつりとつぶやいた美里ちゃんの言葉なんてわたしには届くはずがなく。


さっきまでオレンジ色で染まっていたのに、何気なく見上げた空はいまは藍色へと変わろうとしていた。



本当は美里ちゃんが気になったけど、わたしには追いかける理由がない。


やってきたバスに乗って発車するのを待っていた。


ケータイをいじるわけでもなくただぼんやりと窓を見つめていた。



戸惑ってる自分がいる。



美里ちゃんは本当に大上くんに別れを告げたのかな。


大上くんは……なんて言ったのかな。



いろいろ考えてるうちにバスは駅に着いた。

時間を確認しようとケータイを手に取る。