「郁磨が私の元に戻ってきてくれればそれでよかった。また幸せな時間が送れるんだって思ってたよ。
でも、違った」
バスが来てしまったけど美里ちゃんがベンチから立ち上がろうとしないのでわたしも無理に立たせようとは思わなかった。
「郁磨の心の中は常に日向子ちゃんがいるんだよ。私のことなんて見えてない」
「そんなこと……、」
「それでも私は郁磨と一緒にいたかったから。ただ側にいてくれればそれだけでいいって言ったんだ。
……私のワガママを聞いてくれたの郁磨は」
大きな瞳に涙を浮かべながら話す美里ちゃん。
涙をこらえるその横顔から視線をそらしてしまった。
胸が痛い。すごく、すごくズキズキする。