振り返らない小さな背中に手を振っていると、その子のお母さんが微笑みながら小さく頭を下げた。


仲良く手をつないで歩き出す二人の背中が人ごみに紛れるまで見ていた。


うん……和んだ。
見てるこっちまでなんだか幸せになれた気分。



自然と緩む口元を隠して、ショーウィンドーに視線を戻す。


ガラス張りになっているからお店の中がここから少し見えるんだ。


見つけたのはぬいぐるみではなく人。

見たことある姿にわたしは内心で首をかしげた。



「美里ちゃん……?」



後ろ姿だけじゃわからないけど、なんとなくそうだと思う。


顔をこちらに向けてくれればわかるんだけどな……って、わたし会ってどうするんだろう。