──胸が苦しいぐらい好き。好きだよ。



「わたし、もう眠い。早く帰ろ!」



早口に言って大上くんに背を向け、口を手で覆いながらまた歩き出す。



言えないコトバは飲み込んで心にとどめておく。


消えることのない想いはずっと自分の中にあって。

伝えられない想い。


見返りは求めないから。
飽きるまで好きでいさせて。



(……大上くんのばか)


(ばか日向子)



月の明かりだけが二人を照らしていた。