「な、に……?」
見つめるだけ見つめといて視線をそらす大上くん。
言葉も発しないし。
腕は掴まれたまま。
触れられたところから熱が広がっていき顔までをも熱くする。
この沈黙にわたしは耐えられなくなり腕を離してもらおうと一歩後ずさる。
だけど簡単には離してくれなくて。
さらに力がこもった気がするのは単にわたしの勘違い?
「お前、無防備すぎるんだよ。もっと警戒心持て」
やっと口を開いたと思ったら……
え、なんの話ですか?
「西山に簡単にキスなんてされてんなよ」
「あ、あれはっ……!」
あれは予想していなかった出来事なわけで。