ここから叫べばリビングに届くなんて考えてみたけど、ふっと影ができて。
瞬間、唇を塞がれる。


事故だよね、そう言い聞かせれば大丈夫。
明日になったら西山はもう忘れてるんだから。



「西山お前なぁ……何やってんだ。日向子からどけ」



降ってきた声にびくりと肩を揺らす。


わたしの腕を掴んでいた西山の手が力を緩めたのでわたしは身をひいた。

顔をあげればそこには大上くんがいた。



「邪魔すんなよ。もうお前と及川は何もねぇんだろ」


「はいはい。そうですよ。もうお前寝ろって」



「寝室まで運んでやるから」そう言った大上くんは西山の腕を取り、無理やり立ち上がらせる。

足を引きずるように歩いてく西山を見てそうとう酔ってるな、と思った。