詰め寄ってくる西山くんに毛布でなんとかガードするけど……



「ねっ、待って!おい、西山起きろっ」


「焦ってるのも可愛いね。別に初めてじゃねんだし、な?」



な?じゃなくて!


お酒の力って怖い。
こんなにも人を変えてしまうの。

わたしみたいなおとなしい子には見向きもしなかった西山がこんなになるなんて。


もう西山くんって呼ぶの面倒になったから西山と呼び捨てさせてもらう。


相手はわたしだよ?
及川日向子だよ?


西山の好きな遊んでそうな美人じゃないんですけどー!


酔っていても男の人の力になんて勝てるわけがなく、簡単に腕をがっしり掴まれてしまった。


足で蹴るにも蹴れない状態。


最後の抵抗としてできるだけ下に顔を向ける。



「及川、顔あげて」


「絶対イヤ、です」