「まぁ、でも。ツラくなったらいつでも頼って。待ってるから」


「……ありがとうございます。ふふっ、千絵もこうして甘やかされて育ってきたのかなぁなんて」


「あー、うん。俺、千絵には弱いかも。可愛い妹だからね」


「今の千絵に伝えてもいいですか?」


「やめとき」



運転をする洸汰さんの横顔に視線を向ける。

お兄ちゃんって言葉が一番しっくり来る。



ごめんの代わりにありがとうを。



「洸汰さん、送ってくれてありがとうございました」


「風邪ぶり返さないでね。おやすみ」



車が見えなくなってもわたしはその場につっ立っていた。
夜空に溶けてく白い息をしばらく見つめてそのまま顔をあげた。



自分の足でちゃんと立って前を見て歩いてかなきゃいけないんだ。