「……もう元気になったか」
「うん。頭痛はもう全然」
「よかったな」
部屋に入るとすぐにテレビをつけてくつろぎ始める大上くん。
美里ちゃんの家に泊めさてもらって、なんていうわがままを聞いてくれてありがとう。
なんで?とは言わなかったよね。
わかった。そう一言残して家を出た。
「あっ、そうだ! ねえ、鍵見つかったの。コートにあったのー!」
「あぁ、コートね。鞄しか探してなかったわ」
「反応薄くないですかぁ。私は見つかってこんなにテンション高いのに」
「俺にどう反応しろと」
フンと鼻で軽く笑われた。
その口元には微笑みが浮かんでいる。
何気ないこのやりとりも私にとってはやっぱり大切で。
ふたりでいるこの時間もやっぱり、好き。