お風呂も入らず、服は昨日のそのまま。
ワンピースとかじゃなかっただけまだマジかも。
楽な格好でよかった。
洗面所を借りて顔を洗いながら今日一日をどうやって過ごそうか考えていた。
そうだよ。
まずは鍵を探さなきゃ。
古いアパートだけど日当たりはとてもいいんだよね。
「鍵はどこだぁ……?」
鞄の中身を一度全部出して探す。
だけど、見当たらない。
鞄の底にもないし、両側の小さなポケットにもない。
探すことを諦め、床の上に大の字に寝転がった。
ひんやりと感じる床の冷たさを感じながらゆっくり息を吐き出す。
壁にかけてあった自分のコートが目に入った。
大上くん、コートはちゃんとかけてくれたんだ。
小さな気遣い。