――――ドアが閉まる音を聞いたあと、出てきたのは大きなため息。


一人暮らしを始めてけっこう経つのに、部屋にひとりって寂しいな、なんて。

ふと思ってしまった。



「美里ちゃんの家に今日は泊めさせてもらいなよ」


大上くんにそう言ったのはわたし。



だって、あのままじゃ無理だったんだもん。


大上くんがあんなに近くにいて。

口を開けば変なこと言っちゃいそうで。


絶対泣くよ。
大上くんの前で泣くのは嫌だった。



「っ……うぅ~」



もういっそのこと何の関わりもなくなった方がいいんだろうか。


時間が何もかも変えてしまうんだろうけど、
わたしはどれぐらい時間を要するんだろう。


――大上くんの存在がわたしの中であまりにも大きすぎる。



明日、目が腫れる覚悟でわたしはゆっくりまぶたを閉じた。