いつ、大上くんに会ったのか。
どんな会話をしたのか。

なんで、わたしがここにいるのか。


考えようと頭を働かせるけど、今のこの状態では無理だ。



「日向子さ、部屋の鍵どうしたんだよ。鞄ん中どんなに漁っても出てこなかったから俺の部屋に入れたんだけど」


「えぇ……?」



鍵?

鞄の中にないなんてそんなこと……



「まぁ、隣だしそんな変わんないだろ。元気になるまで寝てろ」



変わんないって何が変わんないんだろう。

自分の部屋に他人を入れるのにそんな抵抗がないんだろうか、大上くんは。しかも男ならまだしも……女だし。



「鍵……学校で落としちゃったのかな」


ケータイとかティッシュを取り出した時に鍵も出てきちゃったのかな。