「うん、わかった。日向子のこと頼んだよ」


お姉ちゃんは柔らかく笑ってわたしと大上くんの肩をぽんと軽く叩くと踵を返してエスカレーターの方へと歩いていった。


まるで、頑張れって言われたみたい。


お姉ちゃんが全部、袋を持って帰ってくれたから両手は軽くなった。



「……話が終わるまで絶対帰さねーから」



つい俯いてしまう。
自分の靴と大上くんの靴が視界に入る。


手を取られ握り返すことなく引っ張られるがままに歩いた。


駅近くにあるこのショッピングモール。
歩けばすぐ駅に着いてしまうのだ。


大上くんはずっと無言で。
行き先も伝えてくれない。


でも電車に乗ったのだからきっと向かう先はアパートだろう。