なんで。
どうしてここで会っちゃうの……?
「手、離して……」
「なんで電話に出ねぇんだよ。なんでアパートに帰って来ねぇんだよ。なんで俺のこと避けてんの?」
早口でまくし立てる大上くんから視線をそらしてぎゅっと唇を噛む。
トイレから出てくる人、入ろうとする人たちにすごくガン見されている。
肩にあった手が滑り落ちて腕を掴まれた。
少しも動かないわたしに大上くんが腕を揺らす。
「話もさせてくんねーのかよ……」
弱々しい声に胸をぎゅっと掴まれた感じになる。
やめて。
やめてよ。
また苦しくなる。
うまく呼吸ができなくなる。