「あ、お母さんだ」


振動していることに気づいたのかポケットから携帯を取り出すと耳に当てるお姉ちゃん。


こんなにたくさんの人で賑わっていると歩くのも一苦労。
すれ違う人とぶつかってしまいそうになる。


ズラーっと並んでいるお店になんとなく視線をやりながら人とぶつからないよう気をつけて歩く。



「お姉ちゃん、あれ見て可愛くない?……って、あれっ?」


隣にいたはずのお姉ちゃん。
キョロキョロと見渡してみても姿がどこにも見当たらない。


う、嘘ぉー!はぐれちゃった……?


お手洗いと書かれてある案内の板が目に入ってわたしはひとまずそこに寄ろうと考えた。