ぽかぽかと日差しが暖かい屋上――


黒地のお弁当包みを開いて中を確認すると、石川君はぽかんと大きく口を開けた。


「でかっ」


アルミホイルの塊を手にとって笑いながら箔を剥がしていく。


「特大おにぎり?」

「う、うん」


うつむいたまま、私は自分の包みを開く。


今朝、床に落ちてしまったお弁当は結局作り直す時間がなく、

大きなおにぎりをふたつと私のお弁当に入っていたおかずを小さい容器に移し変えて、石川君のお弁当にした。


「ご、ごめんね」


洒落っ気の欠片もないダイナミックなお弁当になってしまって、少し恥ずかしい。

石川君の隣で小さくなっていると、彼は不思議そうに私を見下ろした。


「ごめん? なんで? 俺、おにぎりめっちゃ好きだけど」


さっそくかぶりつきながら、石川君は「んー、うま」と嬉しそうに目を緩ませる。


「おにぎりに美味しいとか不味いとかあるの?」
 

苦笑すると、隣の彼氏は「いや、あるだろ」と強く言い切った。