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ふわり。


「一歌」


ふわり、ふわり。


「いーちーかー」


羽毛みたいなたんぽぽの綿毛が目の前を流れていく。


「ねぇ、一歌ってば!」


ここは2階のベランダなのにどこから紛れ込んだんだろう。


「一歌っ!!」

「わっ、痛っ」


耳元で炸裂した高い声に体を仰け反らせ、

私は寄りかかっていたベランダの壁に後頭部を思い切り打ち付けた。