心臓が跳ねて、身体が硬直したまま、動けなかった。 肩に触れた手の感触―― 多分それは一瞬の出来事。 けれど私の頭からは時間の感覚が消失していて、 ただ、スローモーションに見えた。 まるで自分の行動に驚いてるような、愕然とした瑞貴の表情と、 焦って階段を上っていく足音。 それだけが、呆然と立ち尽くす私の脳裏に、 やけにはっきりと刻まれた。 ―――