「あいつが、俺が使ってる参考書が知りたいっつーから、一緒に本屋に行っただけで」
私の憤りを追いやるように低い声でまくしたて、瑞貴は沈黙した。
まるで憎しみでも込めるような強い視線で私を見据え、
「彼女なんか……っ」
目の前に立ち塞がったかと思うと、私の両肩を掴んだ。
そして――
ゆっくりと近づいてくる可愛い顔。
形よく隆起した鼻が触れそうになって、
「みず――?」
言いかけた言葉をそのまま受け取るように、
瑞貴の唇が、私の唇を覆った。
それは柔らかな皮膚の重なり。
………キス――
メニュー
メニュー
この作品の感想を3つまで選択できます。
読み込み中…