石川君のわき腹に当てていた手が、グイと前に持っていかれる。

その反動で広い背中に密着する形になった。


「ん、じゃ、行くよ」 


一瞬かすれた低い声に「うん」とだけ答えて、石川君にしがみつく。 




広くて大きな背中だった。


男の人の身体って、ゴツゴツしてて固いんだ……。



高校2年生。

花盛りの17歳。


一緒に机を並べていたはずの友人達は、気が付けば、示し合わせたようにみんなで仲良く彼氏持ちになっていた。

同級生やら先輩やら、バイト先の社員やら。

相手はさまざまだけれど、みんな一様に恋愛スキルを伸ばしていて、私は正直、ちょっとだけ焦っていた。


家事と高校生活の両立にも慣れてきたところだし、私もそろそろ、みんなみたいに恋愛を始めてもいいかも。

なんて思ってるときに、石川君が告白してくれた。