正直にいうと、今までにも告白されたことがないわけじゃない。
中学生のときも高校1年のときも何度か秘めたる想いを打ち明けられたことがあった。
けれど要領の悪い私では家事や勉強と両立できないと判断して、すべての申し出を断った。
「いちかン家って学校から近いんだろ?」
「うん、徒歩20分だから、チャリ通」
駐輪場から自分の自転車を持ってくると、石川君は嬉しそうにハンドルを握る。
「俺こぐから、後ろ乗んなよ」
「え、けど2人乗りは……」
「へーきへーき」
先生に見つかってチャリ通禁止にされたら困るんだけどな……
一瞬よぎった懸念を付き合いたての彼氏に告げる勇気はなく、私はおとなしく荷台へと横向きに腰をのせた。
「ちゃんと掴まって。道はこっちでいいの?」
「う、うん」