昨日のアレはなんだったのか――なんて、考えたって意味はない。


瑞貴は思春期の15歳で、私の弟で。


姉に対するただの愛情表現だったのかもしれないし、

もしくは寝ぼけて私を誰かと間違えた可能性だってある。


ただ、手にキスをされただけなんだから。

ほっぺにチューとか、小さい頃なんて誰でもよくやってるじゃない。

それと同じ。


そう、同じ……はず、なのに。




いつものように制服に着替えて1階に下り、台所に立った。

エプロンの紐を締め、冷蔵庫の中身を確認しながら今日の献立を考える。

朝食と、お弁当と、夕食。



豆腐で味噌汁作って……あ、卵あと3個しかないや。

買ってこなきゃ……。

ええと、朝ごはんは……ああそうだ、昨日買ったパンがあって……。


「……」


牛乳パックを手に取りながら目を閉じた。