運命の神様は、私の小細工がお気に召さないらしく、 この病院に勤めた数年間、瑞貴と出会うことは一度もなかった。 駅に向かって街灯が照らす歩道を歩く。 少し冷えた風が頬をかすめていった。 ……喜ばしいことだ。 瑞貴は、ちゃんと自分の道を歩んでるってことだから。 寂しい気がするのは夜風のせい。 だって私はずっとそれを願っていたのだから。 自分の足で立って、 自分の道を歩いて、 ちゃんと、幸せになって――