「なんだったの……?」 まだなお右手に残る、瑞貴の感触。 潰れるほどに柔らかい唇と、 温かくてくすぐったい吐息―― 目に見えない痕を隠すように、右手の甲を左手で覆う。 どうしよう、 心臓が鳴り止まない―― 可愛い寝顔。 「一歌」とつぶやいた声。 寝ぼけてた。 寝ぼけてたんだよね、あれ……。 でも、 「なんで……」 瑞貴――――?