「遺伝子で惹かれあったんじゃないかって、瑞貴は言ってたけど……」
 

置き所がない感情を放り投げるように、気持ちの切れ端を宙に放る。



「本当に、細胞のひとつひとつが好きだって叫んでるみたいに、好きなの」


「一歌……」


「この先……」
 


寒くもないのに唇が震えて、



「こんなに、誰かを好きになることなんて……きっと、ない……」



目の前が滲んだ。