リビングに沈黙が漂い、窓から入り込んだ涼やかな風が2人の間を通り抜けた。
 


恋って、きらきらしてて、嬉しくて、楽しくて、幸せなものだとばかり思っていたのに……。 



「あのね、エリカちゃん」

彼女は「ん?」と瞬きをする。


その目を見ることができず、私は食卓の椅子を眺めた。

座席はいつも決まっている。


「笑われるかもしれないけど、あたしは瑞貴との恋を運命だと思ったの」



……運命だって思ったよ。



だって恋なんてしたこともなかったのに、いきなり落ちたんだから。

まるで魔法にかかったみたいに。