中途半端にひびが入ったガラスほど、たちの悪いものはない。


全体としては形を留めていても、内側から脆くなったそれはいつ崩れ出すか分からない。



『そのとき』を、今か今かと怯えながら過ごすよりも、いっそ自分から壊してしまえばいいのかな。



カケラすら残らないほど粉々に砕いてしまえば、


少しは楽になるのかな――





置き所のない気持ちを抱えて過ごすというのは思った以上に大変だった。

同じ家に住んでいる限り、顔を合わさず過ごすことはできない。

抑え込もうとすればするほど、気持ちは膨らむ一方だ。



そして瑞貴はだんだん刺々しい表情をするようになった。


きっと、気持ちをうまく抑えられずに苛立ってる。