あたしの右手にキス、してるのは――



心臓が口元まで上がってくるんじゃないかと思うくらい、暴れまわってる。


されるがままになった右手は、いちどギュッと強く握り締められ、やがてふわりと解放された。


そのまま、再び安らかな寝息を立て始める可愛い弟。


私はへたり込みそうになりながら、どうにか瑞貴の部屋を後にした。



夜食を置いてきてしまったけど、取りに行くことなんかできそうもない。

逃げるように自分の部屋に駆け込み、ドアを閉めてそのままずるずると座り込んだ。