まだ夏が過ぎきっていない暑い日、学校が始まった。


「久しぶりー」


そんな声が飛び交う教室の中に、おそるおそる足を踏み入れる。


「あ、一歌。おはよー」

「お、はよ」


クラスメイトに声をかけられ、びくびくしながら答えた。

変な目で見られることも覚悟していたけれど、


「おっはよー一歌」

「おは、よう。……みなみ、すごい焼けたね」

「でしょ。彼氏と海行っちゃったー」


情報通のみなみも、その周りの女子も、夏休み前とまったく態度が変わらない。

そのほかのクラスメイトもいつも通りで、私を訝ってそうな人間は1人もいなかった。