「一歌こそよく考えてみろよ。俺たち結婚だってできるんだ。調べたんだよ。籍を抜けば姉弟じゃなくなるし、血の繋がりもないから、何の問題もないよ」
黙りこむ私に、優しく笑いかける。
「2人で幸せになれるよ。だから周りなんか関係ない」
「……本当に、関係ないと思うの?」
「……父さんに反対されたり、周りがどうしても気になるってんなら、2人で遠くに行って暮らせばいいよ。俺、働くし。一歌に苦労させないように――」
瑞貴の声が、だんだん耳を抜けて遠のいていく。
だめだ。
まったく話にならない。
弟は気持ちのまま突っ走ろうとしてる。